インサイト分析をビジネスの力に
スイッチングコスト戦略

スイッチングコスト戦略〜入口・出口戦略のコツ

誰でも日常的に使っているサービスから別の新しいサービスへ移行することには抵抗を感じます。これをマーケティング用語で「スイッチングコスト」と呼びます。スイッチングコストとは、利用している商品やサービスを他のものに切り替える際に発生する時間や費用、心理的な負担のことです。

これをもっと社会的、経済的な影響まで深く思慮したものを「スイッチングバリア」と呼びます。主にガスや電気、携帯電話などのインフラはこれに親しいかと思います。

人は変化を嫌う生き物である

人が変化を嫌うことにはきちんとした理由があります。人間はフィジカルな生き物ですから、動物的に自己防衛本能が働いて当然です。

この人間の恒常性のことをギリシャ語では「ホメオスタシス」と呼びます。僕が以前、社会心理学を学んでいた頃に覚えたことです。

例えば、無理なダイエットでずっと食事を摂取していなければ、無意識に空腹感が襲ってきます。
人間は誰しも生命を維持するために、このホメオスタシスのパワーが働き、無意識のうちに生命が維持されているというわけです。「変わりたいけど変われない」、「痩せたいけど痩せられない」となるのは当然のことなんです。

また、皆さんが現在注目しているワクチンというのも、これを利用して異物やストレスに対する防衛反応を起こさせる”免疫”というものを働かせることにフォーカスした手法なんです。

人間の90%は潜在意識に支配されていて、自分の頭で考えることはたったの10%しかありません。頭の中でどんなに変わろうとしたとしても、潜在意識が90%の力で必死に止めに入るというイメージです。

たとえば、現在使っている物を別の物に変えていただこうとすると、このホメオスタシスの邪魔が入るのです。これは今使っている物に若干不満があったとしても、それをカバーしてしまうほどの力になるのです。

ですから、唐突に自分の価値観で、これの方がいいに決まっているという先入観を持ち込めば拒否されるのがオチなのです。

また、日常的に使用する物であればあるほど、このホメオスタシスが強く働く傾向があります。一体どのようにすれば人の無意識は新しい物へスイッチングしていただけるのでしょう。

大切なことは自ら選ばせること

ホメオスタシスはただ、その人自身を守りたいだけなんです。つまり、本人が無意識に望んでいることに対しては邪魔をするどころか、手助けをしてくれます。

ホメオスタシスの対義語に、「トランジスタシス」というのがあります。トランジスタシスとは、現状を打破して新たな展開を生もうとする行動原理を表す造語です。新たな居住地を求めて開墾を始めることなどがトランジスタシスの一例とのことです。

そこで、安直にこのトランジスタシスを奮起させることが無意識をコントロールすることに繋がるというアイデアが思い浮かぶわけですが、当然、そんな本人がコントロールできないことが他人の手でできるわけもなく、できるとすれば、それを支援するということだけです。

このトランジスタシスを動かすコツは、コンフォートゾーン を作り出すことです。
コンフォートゾーン とは、ホメオスタシスが維持しようとする従来の環境・ライフスタイルつまり、無意識に守られていると感じる事柄を作り出すことです。

価値観や理想が近い人物に出会う

「朱に交われば赤くなる」ということわざがあるように、人間は周囲に大きく影響されるものです。
自分の理想をすでに実現したりチャレンジしている人物に出会うと、人は無意識に同調したいと考えます。これが集団になれば、さらに効果が発揮できます。

これをビジネス的に考えると、たとえば自分が課題と感じていることを既に解決している人物やそれにチャレンジしている人々がこれに当たります。これに当たるコンテンツが「導入事例」や「コミュニティ」です。
特に、できるだけ親しい業界や同じような文化を持つ企業、人物、またはその人がなりたいと尊敬している人物(タレントやモデル、有名なビジネスマンなど)がそこへ向かおうとしていれば、同調しやすくなります。

コミュニティというたとえでは、SNSなどで朝活をみんなで実施するコミュニティがあったり、他人と同じ目的地へ向かうツアー企画などがあります。ワークショップなどもこれに当たるといえます。
また、一人では達成できないダイエットをジムに通い、自分の味方や仲間を見つけて達成していくといった方法があります。

コンフォートゾーンを作り出す

コンフォートゾーン とは、実現したい未来のイメージを具体的に自ら想像することです。自らポジティブなイメージを発想することにより コンフォートゾーン を作り出し、自己効力感を高めることができるからです。

これは、自らが選択したものは否定しにくいという心理とも繋がっています。悪くいえば、誤った選択をしたとしても、自らが悪いという印象よりは「周囲は自分を分かってくれない」という気持ちが強くなります。これもホメオスタシスの働きといえます。

ポジティブなイメージを発想させるためには、まず成功している自分の姿を思い浮かべてもらうことです。目標を達成した自分はどんな気分か、どんなところに住んでいて、どんなライフスタイルを歩んでいるかなど、できるだけ詳細にイメージしてもらうことが大切です。企業であれば、これを実施した後に訪れる業績アップや従業員、お客様の笑顔をイメージさせることなどが考えられます。

同時に、達成イメージを言語化することにも効果があります。達成のための具体的なロードマップや達成時に叶えられる認識しやすい数値、完成イメージをイラストや写真などで所有してもらうことなどが考えられます。

未来のポジティブな姿が具体的に掲示されている状態。たとえば、自分の住む地域の再開発イメージが駅前に大きく掲げられていたりするとワクワクしますよね。

皆さんがよく取引先に対して行うプレゼンテーションの作成にも、これらを取り入れることが重要です。

スイッチングコストのコツ

スイッチングコストのコツは、「入口は低く、出口は高く」です。

入口の スイッチングコスト を低くすることで、他社から自社への新規顧客獲得の流れを作ることができます。
また、出口のスイッチングコストを高くすることで、自社から他社への顧客流出を防ぐことができます。

低くするコツは前述のこと意外に、スイッチングコストに当たる”コスト”の部分が大きく影響します。このコストとは、何も購入単価のことだけではなく、その商品・サービスを使うための手間やキャパの課題などがそれに当たります。

金銭的な施策

金銭的には、クラウドサービスなどで、フリートライアルや フリーミアム といった手法が流行っていることや、家電店が施策としてよく実施する家電下取りキャンペーン、携帯電話キャリアで MVNO を使って移行すると割引やポイント進呈があることなどがあります。

物理的な施策

商品やサービスを切り替える際に生じる移動や手間、時間に対する施策としては、使い始めるまでの初期設定を無償で実施することや、携帯電話ショップなどでよくある他社からの移行作業を代行すること、既存システムからのデータ移行や既存システムとの機能連携などを持たせることなどがあります。シンプルに、「短時間で始められる」や「当社なら取り付け工事に即日伺えます」、「工具無しで自分で組み立てが可能」などもこれに当たります。

最近では、口コミサイトやYouTubeなどで、「開封してから使い出すまではこんな感じ」や「このようにしたらすぐに使うことができた」、「こうやったらこれができるようになった」などのユーザー目線でのレビューがこれに貢献していると考えられます。

心理的な施策

他社の商品やサービスに切り替えることに対して感じる心理的な負担を減らすには、自社の安心感を高めることが重要です。

抽象的なものだと、「買った後もアフターサービスが充実」や「当店は説明員が知識豊富で親切」などがあり、具体的なものでは「365日24時間保守体制があります」や「3世代までバージョンアップが可能」、「全額返金保証」などがあります。

また、ブランドの世界観や価値観が自分に合うといった心理的な価値もこれに当たり、ブランドの背景にある思想やこだわり、義憤までもが消費者の心理に影響を及ぼすといわれています(ブランドパーパス)。

コストを高めるコツ

一度掴んだ顧客を囲い込みたいと考えるのなら、スイッチングコストを高める出口戦略も重要です。基本的には前述のコストを低くする手法の逆をいけばいいことです。

たとえば、金銭的な価値で他社へ行かないように、長期間ご愛顧いただいているお客様へは長期契約割引を施すことや、定期的に機能的又はUI/UXなどのデザイン的なバージョンアップを実施し、市場や競合の先を行くことが重要です。

また、最近IT企業や サブスクリプションサービス 等で取り組む事例が増えている「カスタマーサクセス」はとても効果のある施策だといえます。顧客からトラブルやクレームが発せられた時点では、既にあなたのサービスへの愛着は一部損なわれている状態です。

定着のためには、顧客が商品・サービスで真の目的を達成できるように導いてあげることが重要です。これが カスタマーサクセス の基本的な考え方です。もし、顧客が自社の価値観を「自分の物理的・心理的なコストを省いてくれること」と認知してくれれば、簡単に金銭的なコストで他社へ浮気することはありません。

加えて、カスタマーサクセスは顧客へ次の段階へ移りたいと考えさせ、クロスセルやアップセルにも貢献することができます。

スイッチングコストが高まれば、LTV(顧客生涯価値)を向上させることができ、企業の持続にも大きな影響をもたらします。 LTV については以下の記事を参照ください。

スイッチングコストはインサイトから見抜く

前述のような スイッチングコスト のしきい値がどこにあるのかを見抜くことは、市場調査や競合調査のみでは計り知れない部分があります。それは、顧客は一人ひとり異なるからです。

そんな一人ひとりのインサイトを見抜くためには、顧客とのコミュニケーション履歴を可視化することが重要になってきます。

そこで、私たちがお勧めするツールが顧客戦略ツールのASSIMA<アシマ>です。

顧客戦略ツール・アシマ
ASSIMA<アシマ>

ASSIMA<アシマ>は、「貯める」「シェアする」「顧客を知る」の3つをコンセプトに、「これから顧客管理を始めてみよう」というお客様に使っていただこうと考えて開発されました。

そのため、入力画面や項目を極力シンプルにしており、キーボードやスマホから入力する項目が少なく、難なく毎日続けられることがポイントです。

社内のコラボレーションを活性化

担当者間・部署間でのコラボレーションを活性化します。

あらゆる履歴を横串で可視化

貯まった タッチポイント ごとの履歴を見れば、いつ、誰が、どこで、何のために顧客と接点を持ったか、顧客と自社とのこれまでのストーリーが見えてくるようになります。

また、アシマがあれば、ヒアリングした内容を共有し忘れたり、聴き漏れによるミスや後戻りを発生させてしまうようなことを極力避けることができるようになります。

コンタクトごとに写真や書類を残せる

コンタクト履歴にデータをアップロード

以前、社内の誰かが作成した資料を探すのに手間や時間がかかってしまい、ご苦労されたことはありませんか?

様々なシーンで作成したファイルが、ファイルサーバーに保存されていると、その紐付けに余計な手間がかかってしまうことがあります。

アシマでは、コンタクトに使用した書類や議事録などをそのタッチポイント履歴の中に添付したり、同様に、その時スマートフォンで撮影した写真を添付することができます。

これでいちいち関連した書類を探す手間が削減できるはずです。

顧客を深く理解する

貯めた顧客履歴から、そのお客様の特性を分析することができます。

顧客理解を深める

時間が経過してもお取引内容が詳細に残っていたり、個々のやり取りでは知り得なかった他の担当者のタッチポイント履歴が見えることで、自然にそのお客様の特性が可視化されていきます。

自社が大切にすべき顧客はどのような企業・人物で、今後そこに対して
どうすれば、さらにご満足いただけるかをデータ化していくことができます。

また、顧客履歴が残っていることで、部署異動、退職による担当者の引き継ぎもスムーズに行うことができるようになってきます。

さらに、ベテランの社員がどのようなお客様へ、何がきっかけで、どのような手順でどう接しているか、その成功へのプロセスを学習することができます。

攻めの営業戦略に活用する

ASSIMA<アシマ>は単に顧客とのやり取りを記録するだけのツールではありません。

今後、その顧客へ「いつ、何をするか」を記録しておく機能も搭載しています。

単に担当者が備忘録として書いておくこともできますし、マネージャーが後から個々の担当者の行動をチェックし、営業活動を促すことにも活用することができます。

アシマでは入力項目の大半を選択式にすることができるため、営業担当者の手間を削減しています。これからは日報が続かないとか、報告業務が続かないといった心配も減ることでしょう。

さらに、クラウドサービスのため、どこにいてもインターネットがあれば、PCやスマートフォンからすぐに利用することができます。

また、営業・案件進捗報告にアプリ画面をそのまま使用できるため、報告書を複数作成する工数を削減することができるはずです。

ASSIMA<アシマ>について、詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

この記事を書いた人

はじめまして、僕はアシマと申します。何のキャラなのかは写真からご想像いただければと...
一部ではサイト管理者と激似との噂もありますが、ご存知の方はくれぐれも内密に。
マーケのプロとして、ビジネスにお役立ていただける記事をどんどん書いていきますので、宜しくお願いします

▼アシマの中の人の略歴

  • ソニーグループにて、直営店舗の運営、ウェブマーケティングによるD2C推進の統括を経験。また、ナレッジマネジメントの推進や福利厚生サービスのWeb化を推進。
  • 家電量販店店長を経験し、その後店舗開発の出店営業支援、VMDの企画制作を歴任。
  • システムインテグレーターとして、手術室及び血管造影室の画像・映像配信システムの開発・設計、エンジニアリング及び、リモートメンテナンスシステムを開発。その後、メディカル組織のマネージメントを経験。
  • 現在はアクアマイクロ株式会社にて、マーケティングディレクター及び、デジタルマーケティングコンサルタントを担当しております。