インサイト分析をビジネスの力に
「欲しい」を思い起こさせるコンテクストの活用方法

文脈から顧客の「欲しい、買いたい」を想起させるヒント

仕事帰りにレストランへ入ると何となくビールが飲みたくなったり、待ち合わせのときにはカフェを探したり、「目的はないけど何となく」ということよくありませんか?

1955年に米国の認知心理学者「ジェローム・シーモア・ブルーナー氏」によって提唱された、心理学的なこの効果のことを「文脈効果」といいます。

文脈効果とは、周囲の情報・状況によって対象の認識が変わることがある現象のことを指します。
たとえば、ハンバーガーを食べたいと思っていたとしても、そのときにによって「今日は何となくマックが食べたい気分」とか、「今日は何となくモスの気分だ」なんていうのも、その人がその瞬間に置かれている状況によって異なるため、文脈効果といえます。これを「コンテクスト・マーケティング」と呼んでいます。

モノの価値は体験で拡張される

商品やサービスの価値は、必ずしも売り手と買い手で思惑が一致するわけではありません。

たとえば、忙しく客先周りをしている最中のビジネスマンに、ゆったりした空間で味の良い珈琲を楽しめる場所があるとPRしたところで、そのビジネスマンはすぐに喉の乾きが癒せる自動販売機のミネラルウォーターがあれば良いと考えることでしょう。

逆に、休日に余暇の時間をできるだけ心地よい場所で、心地よいBGMを聴きながらゆったり珈琲を楽しみたいと思えば、おしゃれで長居できるカフェを選択することでしょう。

このように同じ一杯の珈琲であっても、珈琲を楽しむ周囲の環境やシチュエーションを変えるだけで、ユーザーが感じる製品価値は大きく代わってしまいます。

自社製品・サービスの売上アップや単価アップを望みたければ、それに合った顧客体験を作り上げることができる文脈(コンテクスト)を作り上げることが重要であるといえます。

代表的な3つのコンテクスト

思い込みが印象を変える

「あの人はこういう人だから、こうするに違いない」とか、「あの格好の人は礼儀正しくないに決まっている」など、あるひとつのインパクトのある印象から、相手の印象を決めつけてしまうことってよくありませんか?

こういった現象を心理学では「ハロー効果」といいます。

ハロー効果が働くと、良い口コミが多い製品の方がより優れた商品に見えたり、何らかの不祥事を起こした企業が販売する製品は全て悪い商品と思ってしまったりします。

ビジネスマンが初めて会う顧客とフォーマルな格好で会うのも、このハロー効果を見込んでのことです。

事前情報が印象を変える

これから初めて人と会う際に、「これから会う○○さんはとても性格が良くて優しい人だよ」と言われると、まだ会ったこともない人なのに、お会いした際に最初から好印象に思えることってありませんか?

このような現象を心理学では「プライミング効果(初頭効果)」といいます。

プライミング効果が働くと、事前に印象の良いBGMやムービーを見せられることで、その商品が良いものに感じられたりします。

逆に、事前のプロモーションが悪い印象だったすると、その後紹介する商品の印象まで悪く思えてしまうものです。

必要な情報は自然に耳に届く

どんなに周囲がざわついていても、ふと自分の名前を呼ぶ声があれば振り向いてしまうことってありませんか?

こういった現象を心理学で「カクテルパーティー効果」といいます。マーケティング的にいうと、顧客の欲しいと思っている情報を与えてあげることです。

たとえば、ランチをたらふく取ったばかりの方へ「炒飯のご注文で、今なら餃子が無料」という広告を打っても無駄ですよね。

それよりも、「今、食べ過ぎたと思っている方へ、スポーツジムのカウンセリング体験無料!」という方が良さそうです。

また、ターゲットを決めずに「アンケートにお応えいただけませんか?」と声をかけるよりも、「20代の学生さんにアンケートを取っています」とターゲットを明確にしてお声がけした方が、聞いてもらいやすくなります。DMやメルマガに受信者の名前を差し込んで送ったほうがいいのも、こういったカクテルパーティー効果があるからです。

営業現場での活用方法

僕は以前、家電量販店のVMDをデザインしたり、新規出店時の商品レイアウトを作っていました。

「欲しい」を思い起こさせるコンテクストの活用方法

家電品の展示も、既に顧客が選択段階にあるような商品の買い場は比較展示で選びやすくし、アイキャッチとなる角の島や提案展示コーナーには、商品の活用を想像できるような動きのある提案展示(VMD)を行っていました。買い場の島を回遊する顧客は、角の展示に興味を持って、その島へ流入してくるからです。

店舗は商品をこちらから売りつける場所ではなく、顧客が自ら選び、買っていただくための場所なので、僕は売り場ではなく買い場と呼んでいました。

ネットとリアルな買い場を差別化するポイントは、潜在的もしくは無関心な顧客が買い場の文脈(コンテクスト)をたどることで、「これを買ったら、もっと毎日が便利になるかもしれない」と気がつく場所を作ってあげることだと思っています。

つまり、モノを買っていただくということは、夢や希望を買っていただくことと似てるんです。ただモノを売ることとは、決定的に違うんです。

また、アイテムプレゼンテーションでは、「○○をやってみたいなら○○がお勧め。なぜならば…」といった、やりたいことがロジカルに結果に繋がりやすいと思えるキャッチコピーが効果的です。ゴチャゴチャと製品スペックが書いてあるPOPを多く見かけますが、そんな仕事はカタログやウェブサイトにやってもらえばいいんです(最低限あってもいいと思いますが)。

それよりも、買い場にやってきた顧客が求めているのは、最後の一押しなんですよね。そうでなければ、プロがいる買い場にやってきた意味はありませんから。

これらはBtoBの営業現場でも同じで、自社の製品やサービスと前述のようなコンテクストを紐付けることで、商品に価値付けをすることができます。プレゼンテーションで価値付けをするヒントは、以下の記事を御覧ください。

コンテクストマーケに重要なインサイト分析

コンテクスト・マーケティングの実現には、ユーザーの過去の行動履歴や現在のニーズを総合的に把握、理解しながら、適切な瞬間に適切な場所で、適切なコンテンツを提供することが求められます。

自社プロダクトの価値付けを適切に行うためには、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を最大化することが重要だといえます。

手法としては、サイトのアナリティクスツールや MA からユーザーの履歴を分析し、そこからコンバージョンへひも付ける仕組みを構築することが必要です。こういったウェブプラットフォームと、特定のユーザーをそこへプッシュするためのメルマガ配信やSNS、リアルの接点をデータとして蓄積する CRM など、現代では様々なツールが存在します。

このような複数のデータを連携させることで、ユーザーインサイトが可視化されていきます。
ユーザーニーズを可視化し、戦略的に活用するこういったプロセスをデジタルマーケティングといいます。

当社が開発した「顧客戦略ツールASSIMA<アシマ>」は、このプロセスの中でリアルな顧客接点(タッチ履歴)を日常から蓄積し、社内で適切な知財のシェアを実施し、分析から LTV の向上を達成するためのツールです。弊社ではそれをデジタルマーケティングで結果にコミットするための、コンサルティングからツールのカスタマイズまで一貫したサポートをおこなっています。

この記事を書いた人

はじめまして、僕はアシマと申します。何のキャラなのかは写真からご想像いただければと...
一部ではサイト管理者と激似との噂もありますが、ご存知の方はくれぐれも内密に。
マーケのプロとして、ビジネスにお役立ていただける記事をどんどん書いていきますので、宜しくお願いします

▼アシマの中の人の略歴

  • ソニーグループにて、直営店舗の運営、ウェブマーケティングによるD2C推進の統括を経験。また、ナレッジマネジメントの推進や福利厚生サービスのWeb化を推進。
  • 家電量販店店長を経験し、その後店舗開発の出店営業支援、VMDの企画制作を歴任。
  • システムインテグレーターとして、手術室及び血管造影室の画像・映像配信システムの開発・設計、エンジニアリング及び、リモートメンテナンスシステムを開発。その後、メディカル組織のマネージメントを経験。
  • 現在はアクアマイクロ株式会社にて、マーケティングディレクター及び、デジタルマーケティングコンサルタントを担当しております。