


【図解】サービスマーケティングの考え方〜7Pのフレームワークを解説

【図解】顧客の認識変化を見える化する〜パーセプションフロー・モデルの考え方

「ブランディング」という言葉を聞くと、有名な大手企業やグローバル企業などがすぐ思い浮かぶと思います。そのため、「自分たちの会社には必要ないのではないか?」と考えるビジネスマンも多いのですが、「ブランディング」という言葉に惑わされてはいけません。
この記事のインデックス
たとえば、あなたの身近にいる同僚の方を思い浮かべてみてください。
恐らく、どの項目でも何となく思い浮かぶ同僚がいるのではないでしょうか。実はこれがまさしくブランディングなのです。
たとえば、「マクドナルド」のあの看板を見れば、誰もが手軽にそして迅速に食べられるハンバーガーを思い浮かべると思います。街角で「7」という文字を見れば、誰もがコンビニのセブンイレブンを思い浮かべることでしょう。
身近な取引先や同僚、友人に対しても、誰もが無意識に何らかのイメージや価値を持っているものなのです。
このように、ターゲットとしている顧客が共通に「これを頼むなら、あの会社だ」と思い浮かぶようにすることが「ブランディング」なのです。
ブランドイメージをコントロールすることによって、ビジネスには次のような効果が期待できます。
また、ユーザーはブランドに対して、主に次のような期待を持つことになります。
つまり、ブランディングがうまく行けば、顧客が自ら自社製品・サービスを買ってくれるようになります。
マーケティングは顧客に買ってもらう仕組みを作ることなので、僕はブランディングはマーケティングを実施した後の結果のひとつだと考えています。
ブランディングのプロセスはざっくりいって、次のとおりです。
やることは非常に多く、ゆっくりと腰を据えて少なくとも3ヶ月〜半年ぐらいかけるつもりで実施する根気が必要です。
STEP1
市場はどこか、顧客は誰か、競合は誰かを分析する
STEP2
STEP1に対して、自社の強み、弱みの分析を実施する
STEP3
STEP2の結果を元に、ターゲットにとって重要な縦軸・横軸を考え、自社のポジショニング分析を実施する
STEP4
市場に対して自社が提供する価値を決めます(ミッション、バリュー、ブランドパーパスなど)
STEP5
市場に露出するクリエイティブデザイン(社名、ロゴ、WEB、CMなど)を決める
市場やターゲットの分析(STP)を行うためのコツはこちらの記事に書いています。
ブランディングにとって最も大切なことは、これらがフィックスした後に身近な ステイクホルダ(従業員、取引先、株主など)にブランディングの「理論」を理解・納得してもらうことです。
具体的には、ブランディングもしくはリブランディングを実施した理由と、組織横断的なメリットを理解してもらうことが必要です。そして、最も説得しやすい根拠のひとつに、ビジネス環境の変化を明確にする方法があります。
これらを分析する方法として、「PEST分析」というものがあります。
PEST分析は、政治、経済、社会、技術といった4つの観点から自社を取り巻く外部環境を分析し、
「それに対してこうならなければならないから、ブランディングを実施した」といった感じにロジカルに説明します。
PEST分析は環境の範囲が広く、抽象的なイメージですが、自社が置かれている業界に限定したビジネス環境分析を実施する方法として、「ファイブフォース分析」というのがあります。
ファイブフォース分析 は業界に影響を与える5つの競争要因から、その業界の力学(=利益の上げやすさの度合い)を分析するものです。
このように、現在置かれているビジネス環境を理論的に可視化し、そこから進むべき方向性を紐解いていくツールを「ビジネスフレームワーク」といいます。ビジネスフレームワーク を使うと、頭の中にある「何となくこう思う」をはっきりとした形で可視化することができます。
参考:UDEMYメディア:ビジネスフレームワークとは?役立つ22選!使い方を図と具体例で理解
しかし、こういった フレームワーク を使いこなすためには多くの場数を踏む必要があり、日頃から思考する訓練を養う必要があります。フレームワーク を使うだけで答えにたどり着けるのなら、誰も苦労はしません。
社内で出来る限り多くの知見を持つ中心的な人物を集め、最初から最後まで参画してもらうことが必要です。
ブランドアイデンティティ とは、簡単にいえばブランドが持つ個性のことです。そして、ブランドのアイデンティティを分かりやすくするために、擬人化という方法があります。
たとえば、お付き合いしたいと考えるターゲット顧客のイメージと皆さんの会社をそれぞれ一人の人物として考え、名前、年齢、家族構成、趣味、休日の過ごし方などを決め、2人が親友となって長くお付き合いするためには自社がどのような人物になればよいのかを考えることです。冒頭でも皆さんの身近にいる同僚でたとえましたが、このようにお互いを「個性」として捉えることで、具体的に見えてくるものがあるのです。
こういった手法を「ペルソナ」といいます。ペルソナはSTEP1の段階から実施していくことで有効に働きます。
もし、ペルソナがなかなか進まないようであれば、マインドマップというフレームワークを作成し、メンバー全員で個性を可視化していく方法もあります。
これって、なんだか人付き合いと似ていませんか?顧客がBtoCかBtoBかに関わらず、ひとつの個性があり、実際には法人にも個性が存在します。
デザインの変更はイメージ戦略のために必要ですが、それよりもっと大切なことは新しいブランディングが持つ個性(アイデンティティ)の浸透へ向け、具体的な目標を持つことです。
これに全社一眼となって取り組める一例として、新ブランドならではのサービスや商品を打ち出すという方法があります。これを実施する際は、できる限りすべての部門(間接部門含む)が関われるように、まずは全体的なプロセスを計画し、そのどの部分でどの部門の誰がどのようなことを達成するかを定め、ターゲット顧客のロイヤリティを全員が協力して向上させていくサービスを企画します。そして、ターゲット顧客が新しいブランドを体験し、ブランディングが想定したイメージを抱いてくれることを目標とします。
この成功体験を元に、第二弾、第三弾と継続していくことができれば、結果として顧客から見た自社のイメージをコントロールすることができるようになってきます。
こういった外部(エクスターナル)向けの浸透施策の他に、社内へインナーブランドを浸透させる施策が必要です。
その一例としては、クレド を作って浸透させるといった方法があります。クレドには、経営理念に基づいた行動指針、価値創造の手法など、従業員が共通で持つべき価値観を記載します。
しかし、クレド は押し付けであってはなりません。一人ひとりがクレドに共感しなければ、クレド は浸透しないからです。クレド とは、一人ひとりが何らかの障壁にぶち当たったとき、方向性を見失いそうな時、その指針となる内容でなければなりません。
もちろん、新しいブランディングとシンクロするものである必要もあります。
このように、ブランディングは即席でできるものではなく、全社が継続して顧客ロイヤリティの向上に務める必要があります。この新しい顧客体験を継続し、浸透させていくためには、常に自社の顧客のインサイトを分析し、全社で議論していくことが必要です。
そしてそのインサイトを分析するためには、日頃から顧客と接しているその瞬間を綿密に記録し、そのアイデアの源を関係者でシェアすることが必要です。